5月に入り、欧州の各リーグもシーズン残り数試合となった。優勝チームも大方決まりだしており、話題は来シーズンに向けられている。
そう、シーズンオフの移籍市場の話だ。大物選手の獲得や放出、そんな移籍の噂が信憑性はさておき日夜問わず飛び交っている。
セリエA6連覇中のユベントスも例外ではない、多くの選手の移籍が噂になっている。
選手が移籍を望めば金額が妥当であれば放出する、いわば『去る者は追わず』のスタンスのユベントスなだけに、ファンは主力選手の噂に気が気でない。
チームの”宝石”パウロ・ディバラの移籍の噂も心配だが、それと同等にユベンティーニが移籍を心配している選手がいる。
ユベントスの”スーパーマリオ”こと、クロアチアのレジェンド選手マリオ・マンジュキッチだ。
現在、ミランへの移籍や、中国リーグへの移籍が取り沙汰されているマンジュキッチ。確かに移籍をすれば本来のCFで起用されるだろう
確かに今は左サイドが主戦場となり、本人がセンターフォワード(CF)でプレーしたい気持ちも分かる。32歳となった今、新たな挑戦をしたい気持ちも分かる。
しかし、それを加味してもユベントス残留がマンジュキッチにとってベストの選択だと考える。今回はその理由を紐解いていく。
①マンジュキッチのプレースタイルとユベントスでの起用法の相性、守備での貢献度
献身的なプレーが特徴で、よく走る印象が強いマンジュキッチはチームを助ける一方で、CFとしては動きすぎるという印象も受ける。
最前線の選手だが、CFとしては守備に戻りすぎ、前線にいてほしい時にいないというリスクが付きまとうのだ。
その中でユベントスでの左サイドでの起用は、マンジュキッチのそのプレースタイルにピッタリと一致したのである。
左サイドであれば、マンジュキッチの守備意識の強さと献身性は弊害をもたらすこともなく、むしろ守備陣にとっては戻りが早いマンジュキッチの存在は大きな助けとなる。
時には自陣ゴール前でSBやCBのようにプレーし、ユベントスの堅守を支えている。
さらには攻撃面でも彼の左サイド起用はプラスをもたらしている。
もともと長身で競り合いに強いマンジュキッチがサイドに位置することで、小柄な選手が多いSBとのマッチアップになり、
クロスやハイボールに対して高確率で競り勝ち、得点機に繋げることができる。もちろん自ら得点することも。
周りの選手の活かす術にも長けており、中でもディバラ、左SBのアレックス・サンドロとの相性は抜群。高いキープ力と正確なポストプレーでもチームに多大なる貢献を見せている。
②バイエルンのグアルディオラやアトレティコのシメオネの時は無かった、アッレグリからの強い信頼
『問題児』
ユベントスに加入する前、マンジュキッチは時折こう呼ばれることもあった。気性が荒く、感情をむき出しにするタイプの為、監督と衝突することもしばしば。
特に前所属のアトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督とは度々衝突を繰り返し、モチベーションにムラがあり、完全に信頼を得ることはできなかった。
アトレティコの前に所属したバイエルンでも当時の監督ペップ・グアルディオラからも信頼を得るには至らず、メディアを通じてグアルディオラを批判したことも。
しかし、現監督のアッレグリは違った。加入決定時に「欲しいと思ったから獲得した」と公言。
アッレグリはマンジュキッチに全幅の信頼を置き、持ち味を存分に発揮できる左サイドへとコンバートを決断した。
当時マンジュキッチはアッレグリについてメディアにこう語っている。
「監督が左サイドや中盤でプレーを要求するのであれば、そこでベストを尽くします。それがチームにとって最高の方法となる手助けができるからです。」
「監督が私に敬意を払っていることは知っています。彼が私をここに来るよう望んだのです。私達は尊敬していますし、互いに多くのことを期待しています。アッレグリを信頼していますし、逆の関係も成り立ちます。監督からの信頼に応えたいのです。」
マンジュキッチ:「チームに大きな貢献ができてハッピーだ」 - NO JUVE, NO LIFE!!メディア嫌いで知られるマンジュキッチ選手が『メディアセット』からのインタビューに応じたことが公式サイトで紹介されていましたので、概要を紹介いたします。 PR //
アッレグリ監督との良好な関係性と、お互いを信頼を寄せているのが容易に分かる。
イグアイン、キエッリーニを始めとするチームメイト、そしてファンからの信頼と愛
マンジュキッチの労を惜しまず走り続け、泥臭く体を張って献身的にプレーするその姿は、見ている者の心を震わせるほどである。
それは一緒にプレーするチームメイト、チームを応援するファン(ユベンティーニ)も例外ではない、それほどマンジュキッチのプレーは味方に勇気を与える。
エースストライカーとして君臨するFWゴンサロ・イグアインはマンジュキッチへの信頼をこう語っている。
「俺が評価しているのは、マンジュキッチの献身ぶりだよ。あいつの走りっぷりを見ていると、皆が“自分ももっとやらなきゃ”って気にさせられるんだ」
“五つ星の攻撃陣”はCL優勝仕様。守備の権化・ユーベが選んだ道。(弓削高志)新戦術は、まさかの超攻撃的布陣だった。ユベントスが、昨夏までの豪華補強で揃えた5人の攻撃系プレーヤーを同時起用する挑戦を始めた。
また、守備の要であるDFジョルジョ・キエッリーニもこう語っている。
「チームを牽引する選手で、DFであると同時にMFであり、そしてFWでもある」
マンジュキッチ、サイドMFで躍動。剥がした“古典的CF”のレッテル - footballista | フットボリスタ悪く言えば古典的CFというイメージが定着していたマンジュキッチ。それが今では、完全にサイドを自らの主戦場としている。ユベントスを率いるアレグリ監督はなぜ、屈強な肉体を誇るクロアチア代表をサイドにコンバートしそれがハマったのか。その機能美を紐...
もちろん、チームメイトからだけでなく、ファンからの信頼も絶大だ。泥臭くもチームのために走り回り身体を張るその姿はまさしくユベントスの精神を体現している。
そんなユベントスが誇る”戦士”にユベンティーニは特大の声援を送り、愛情を表現する。
対するマンジュキッチも、得点した際には必ずゴール裏のユベンティーニの方に向かい、時には熱い抱擁を交わすことも。
そこにはマンジュキッチとユベンティーニの強く固い絆を感じる。
決断はクロアチア代表として出場するワールドカップの後か
今シーズン終了後のシーズンオフは例年とは違う。そう、ロシアワールドカップが開催される。
ワールドカップの開催により、移籍市場にも少なからず影響があり、参加する選手の移籍の決断は大会後になる可能性が高い。
マンジュキッチもその一人でクロアチア代表の主力として大会に出場するため、同様に移籍か残留かの決断は大会終了後となりそうだ。
どのような決断を下すのかは分からないが、来季も白と黒のストライプのユニフォームを着て、「背番号17」がピッチを駆け回る姿を見たい。
そうユベンティーニの大多数が望んでいるはずだ。
流浪のストライカーはユベントスを永住の地とするのだろうか。
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