数多くの名勝負が生まれ、デシャン率いる”ヤングスター軍団”フランスの優勝で幕を閉じた
2018年ロシアワールドカップ。
その余韻と興奮冷めやらぬまま、欧州サッカーはリーグ戦の開幕を迎えた。
そんな中、その年の最優秀選手に贈られ全サッカー選手が憧れてやまない栄誉ある賞
『UEFA最優秀選手賞』と『FIFA最優秀選手賞』で世界に衝撃が走った。
2008年からおよそ10年に渡り受賞を二人で独占してきた
リオネル・メッシ(現バルセロナ)とクリスティアーノ・ロナウド(現ユベントス)の時代に終止符が打たれたのだ。
その時代にピリオドを打ったのがレアル・マドリー所属、クロアチア代表MFのルカ・モドリッチ。
先のロシアワールドカップでキャプテンとして母国クロアチアを史上初の準優勝へと導き、
所属のレアル・マドリーでもC・ロナウドやセルヒオ・ラモスとともにチームの要として、
史上初の3連覇達成に多大なる貢献を見せた。
そんな充実のシーズンと歴史的な受賞を果たしたモドリッチだが、
メッシやロナウドと比べると地味な印象を受けるかもしれない。
そんな彼の凄さとは何なのか。ご存知の方もいるかもしれないが、
今回はモドリッチの凄さを改めて紐解いていく。
①抜群のパスセンスと技術、攻撃の組み立て
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モドリッチを語る上で外せないのが、パスと組み立ての能力の高さだ。
もちろん基本的なパス精度は非常に高い。ゴールの近くでは高精度のラストパスを供給し、
アウトサイドのキックの精度も高く、通常のインフロントキックと遜色ない精度、スピードで蹴ることができる。
また、後方からの攻撃の組み立て(ビルドアップ)も巧みで、中盤の底やDFラインに落ちて
長短のパスを織り交ぜて攻撃のリズムを作る。
先述したアウトサイドのキック精度も高く、球種も豊富なので、相手からすると非常に読みづらい。
②巧みなボールコントロールとドリブル
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個人的にはモドリッチの凄さの肝はこれだと思っている。
ボールコントロールの巧さは世界のトップ中のトップレベル。
簡単に奪われることはもちろん無く、敵に囲まれた密集地帯でも巧みにボールをキープする。
決してフィジカルが強いわけでもなく、むしろ小柄なモドリッチだが、
相手の届かない位置にボールを保持するのが上手く、逆を取って軽々とプレスを剥がす。
また、ドリブルもスピードがあるわけでもないが、
前を向けば、スーッとボールを前に運びチーム全体を押し上げる。
この押し上げるドリブルのタイミングが絶妙で攻撃のアクセントとなるのだ。
厳しく寄せられても奪われないので、味方にスペースと時間を与え、大きなチャンスを生むのだ。
③高い守備力、的確で素早い状況判断
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万能型MFと謳われるモドリッチは守備能力もハイレベルに備えている。
フィジカルにものを言わせたボール奪取というよりは、
パスコースを読んだ正確なポジショニングでインターセプトする守備が得意。
しかし時には献身的に身体を張った、泥臭い守備も見せる。
さらに、状況判断が素早く的確でポジショニングの誤りも非常に少ない。
視野が広くチーム全体を把握し、自分がいるべきポジションを判断し、リスク管理を行う。
サッカーIQが高い選手で、監督としてはこれほど信頼のおける選手は数少ないだろう。
④豊富な運動量と献身性
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これまで上げた能力を兼ね備えているだけでも万能性の高い選手と言えるのだが
モドリッチはさらに運動量と献身性も備えている故、文句のつけようのない。
ロシアワールドカップのクロアチアの準優勝に貢献した話は先述したとおりだが、
決勝トーナメントに進んだクロアチアはトーナメント1回戦のデンマーク戦から
準決勝のイングランド戦まで、3試合連続で延長戦を戦っている。
そしてこの3試合全てでモドリッチはフル出場を果たしたのだ。
ロシアワールドカップでモドリッチが走った走行距離は驚くことに60kmを超える。
32歳となった今でもこれだけの距離を走れる選手はそういないはずだ。
クロアチアの英雄と言われながらも、チームの為にここまで身を粉にして走るモドリッチ、
その姿を見て心を動かされない人はいないだろう。
レアルマドリードからユベントスにロナウドが移籍。次に狙うはバロンドール
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ここまでいかにモドリッチがMFとして、サッカー選手として完成された選手かを述べてきた。
UEFA最優秀選手賞とFIFA最優秀選手賞をダブル受賞し、名実ともに世界最高の選手となったモドリッチ。
しかし、今シーズンこそモドリッチの真価が問われるだろう。
所属するレアル・マドリーではチームに大きな変化が起きた。
絶対的エースとして君臨してきたクリスティアーノ・ロナウドがユベントスへと移籍を果たしたのだ。
大きな存在を失ったマドリーにとって、CL4連覇という前人未到の偉業に挑戦する上で、
モドリッチの更なる活躍が必要不可欠となる。
負担も重圧も大きくなる今シーズン。レアル・マドリーの10番を背負うクロアチアの英雄は
チームを更なる高みへと導くことができるのか。
そして残されたバロンドールの椅子もモドリッチがとってしまうのか注目したい。
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