武藤嘉紀はJリーグが久々に生み出した「ワールドクラスのタレント」感のある選手だ。そう遠くない将来、ヨーロッパに行くだろうとは思っていたが、そのタイミングが今夏にやって来た。行き先はブンデスリーガのマインツ。あれ? パッとしてなくない? そう、オレはチェルシーに行くのが当然だと思ってた。なので納得がいかないのだ。
そしてもう一つ疑問なのは、武藤のキャリアを考えた時に、マインツ行きにどれぐらいメリットがあるのか。報道を見ていると、チェルシー行きのデメリットとして「トップチームで試合に出られない」「レンタルでシケたクラブを転々とさせられる」というのがある。そりゃ分かるけど、マインツよりはマシでしょうに。
アーセナルに移籍して、そこじゃほとんど出番をもらえずドサ回りを続け、もはやJリーグにも戻れない行方不明者になってしまった宮市パターンの再現を危惧したのか。ブンデス中堅でコツコツやってのし上がる、岡崎パターンのほうが安全だと考えたのか。いやそれ違うでしょ。
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日本代表武藤嘉紀はむしろマインツに移籍して正解
正直僕個人としては、マインツに武藤が移籍してくれて安堵しています。チェルシーに行くのではないかと冷や冷やしていましたが、賢い選択をしてくれてよかった~という感じです。
さて上記の記事に対して少しというかかなり言いたいことが自分にはあります。
まずこの意見
「チェルシーに行くのが当然」
は?なんで?
当然の意味がわからないです。
「レンタルでシケたクラブを転々とさせられる」
この事例で成功した日本人選手っています?? いないですよね??
宮市亮もアーセナルに飛び級で移籍して将来は日本代表に期待されましたが、レンタル先でも1回目のレンタル先では「リョウジーニョ」とあだ名をつけられるほどの活躍でしたが
その後は徐々に調子を落とし満足に試合にでることなく、代表戦にしても僅かな時間しかプレーしていません。
いわゆる岡崎がいるマインツのような中堅クラブに移籍していたなら宮市の実力ならそくレギュラーで使われ、
ブラジルワールドカップにも日本代表として主力として活躍していた別の未来があったかもしれないのです。
仮にチェルシーに移籍したら武藤も同じようになる可能性は大いにあるでしょう。
もっと身近な例をあげるなら香川です。ドルトムントで絶対的なエースとして活躍し、絶対的な自信をもってプレミアリーグに挑戦しましたが、僅か2年で戻っています。
しかも2年目は満足に試合にでることなく、完全に調子を落としてしまいました。
その影響からか復帰直後の今シーズンはずっと調子を取り戻せないまま試合に出るという苦しい時を過ごしました。
恩師であるクロップが監督だったから使ってくれたのであって、おそらく違う監督だったら完全にベンチ外だったことでしょう。
武藤には同じようになってほしくないと思ってます。
仮に武藤嘉紀がチェルシーに移籍したら発生する2つの問題点
言語の壁
日本人選手が欧州でうまくいかない理由の1つにチーム内でのコミュニケーションがあります。
今Jリーグで活躍している選手の中にも武藤と同じように欧州へと移籍し、そこでスタメンを張れるだけの能力を擁していながら、試合中のちょっとしたコミュニケーションに苦しみ日本に戻ってきた選手が何人もいます。
特にディフェンダーはコミュニケーション能力が各ポジションのなかで一番要求されます。
海外で活躍する日本人の選手でDFやGKが少ないのはこのためです。(特にセンターバック)
おそらく英語ができると自負している武藤でも周囲とのコミュニケーションを取るのは苦労すると思います。
事実、日本代表で10番をつけ、セリエA、スコットランドで長くプレーした中村俊輔選手もスペインのリーガに移籍したら試合に出られなくなってしまいました。
その主な原因はコミュニケーションが足りなかったからです。
それを考えた時にドイツで日本人が多くいることから他のリーグに比べ
言語の障害が比較的少ないのがわかると思います。
怪我によって選手生命を絶たれる危険も
プレミアリーグでは当たりが激しいリーグで、危険なタックルもカードをださないことでも知られています。
それではカードがでなかった危険なタックルを動画で紹介したいと思います。
Nemanja Matic Red Card EJECTED After Ashley… 投稿者 samiashahzaidi
ご覧になってお分かり頂けましたでしょうか?
そう、もし仮に武藤嘉紀がチェルシーに移籍し、試合にでることになったらこのような選手生命を絶たれる危険なタックルをくらう恐れがあるのです。
だから体をプレミア使用にしていないJリーグの緩いタックルしか経験していない選手が
いきなり挑戦するリーグではないことが、この動画をご覧になってわかるかと思います。
レンタル先がオランダやドイツだったらこの問題は解決できるかもしれませんが、
どこにレンタルされるかは選手では決められないので、100%プレミア以外とは言い切れません。
よって当たりもそこそこに激しく4大リーグの1つとされる
ドイツブンデスリーガに行くのが武藤にとっては正解な気がします。
「偉大なキャリア」は必要か?
ブンデス組で一番結果を出してる香川を見てみましょう。ブンデスで優勝しました。マンUに行ったけどサッパリでドルトムントに出戻りました。さあヨーロッパでのインパクトはどれぐらい? 武藤の今のポテンシャルからして、これぐらいが「偉大なキャリア」でしょうか。違うくない?
では内田はどうだ。22歳でシャルケに移籍して、5シーズン在籍して主力ぶってるけど、リーグ戦出場試合数が20を超えたのは2度だけ。CLでそれなりにプレーしてるのは立派だけど、さあこれと同程度だったら武藤のポテンシャルから想像する「偉大なキャリア」を満たすのかどうか。足りんでしょ。日本代表のポジション争いって意味も多分にあると思うんだけど、サイドバックならともかく、激戦区であるFWのレギュラー争いにおいては十分じゃない。逆に宇佐美でいいじゃないか。声をかけてもらったならトップレベルで勝負。ダメならサクッと帰ってきてJリーグで無双すればいい。いや冗談じゃなく、ブンデスの中堅に「とりあえず」移籍するのは、若い才能をスポイルする悪しき習慣だと思うんだよなあ。
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チェルシーに移籍してもレンタルされるとわかっているのにあえてそこを選ぶ必要は僕はないと思っています。
チェルシー→どこかにレンタル→Jリーグに戻る
それにこれが「偉大なキャリア」になるのでしょうか?
それにこのライターさんはまるで岡崎慎司が失敗パターンのように書いてますが、違いますよ?
というか今の日本代表で一番点を取っているのは、中堅クラブにいる岡崎ですよ??
本田に隠れてエースとは騒がれないけど、間違いなく日本代表の影のエースは岡です。
シャルケの内田ことうっちーも成功例です。むしろよく20試合もでているなと関心します。
チャンピオンズリーグに毎回のようにでるチームのレギュラーでいるのは本当に大変です。
それなのに5年間コンスタントに試合にでていたのはすごいと正直思います。
そして武藤嘉紀がまず「偉大なキャリア」をこれから築くためにやらなければならないのが、
日本代表に呼ばれ続ける
代表戦の試合に出る
代表戦でゴールを決める
これを繰り返すことが武藤にとって本当の意味でキャリア形成になるのではないでしょうか。
別にチェルシーのようなビッククラブに移籍するなとは言ってません。ただ移籍するタイミングを間違えると、今の日本代表に指定席がない以上、
安易に移籍してそこで干された結果、代表に呼ばれなくなる危険性は十分にあります。
この移籍はおそらく日本代表監督のハリルホジッチも武藤に対して何らかのアドバイスをしたはずです。
だから
「マインツに移籍するべきではなかった」
よりも
「チェルシーに移籍するべきではなかった」
という結果になるほうが確率的に高いはず。
というか岡崎が助言したらしいからマインツ移籍は間違いではないと思いますよ。
だって
日本代表のエースの助言ですからね!
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