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なぜ日本代表は監督続投?2026W杯ベスト32でみえた強豪国との差と2030年の課題

コラムまとめ
この記事は約11分で読めます。

2026年ワールドカップで、日本代表はグループリーグを突破したものの、決勝トーナメント1回戦でブラジルに1-2で敗れ、ベスト32で大会を終えた。

グループリーグではオランダと2-2で引き分け、チュニジアに4-0で勝利、スウェーデンとは1-1。決勝トーナメントではブラジルに1-2と、世界の強豪と互角に近い試合を演じた。

チュニジアにしか勝利はしてないものの、GLを無敗で突破しており、「日本は着実に強くなっている」という評価は間違っていない。

しかし、ここで考えたいのが監督人事である。

日本はこの結果を受けても、森保一監督をすぐに退任させるのではなく、2027年アジアカップまで続投させ、その後、大岩剛氏がA代表監督を引き継ぐことになった。

一方、他の強豪国では大きな変化が起きている。

ドイツはユリアン・ナーゲルスマンからユルゲン・クロップへ、オランダはロナルド・クーマンからシャビへと監督を交代した。

この違いを見ていると、「日本はまだ強豪国と同じ発想で代表チームを運営できていないのではないか」と感じる。

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森保監督は「失敗した監督」なのか?

まず、ここは明確にしておきたい。

森保監督を「失敗した監督」と評価するのは適切ではない。

むしろ日本代表を世界と戦えるレベルまで引き上げた功績は非常に大きい。

ドイツやスペインといった強豪国をW杯で破り、欧州の強豪とも互角に戦えるチームを作った。

2026年W杯でも、オランダと2-2、ブラジルと1-2という結果を残している。

問題は、森保監督が「良い監督か悪い監督か」ではない。

本当に問うべきなのは、「現在の日本代表を、さらに世界トップ8へ引き上げるために、森保監督が最適な人物なのか?」ということである。

ここは別の問題だ。

日本の目標は「善戦」ではなく、ベスト8以上だった

日本代表はすでに「強豪国と戦える」という段階に到達している。

だからこそ、次の課題は変わってくる。

ドイツに善戦する。

スペインに勝つ。

オランダと引き分ける。

ブラジルをあと一歩まで追い詰める。

これらは確かに素晴らしい。

しかし、世界トップ8を目指すなら、最終的には「惜しかった」ではなく、勝たなければならない。

今回の日本は、ブラジルに先制しながら最終的には1-2で敗れた。

Embed from Getty Images

前半は日本のプレスがハマり先制。

このままいけば勝利というところで、後半は引いて守る策が外れ、終盤に失点し敗退。

ここで問われるのは、選手の能力だけではない。

先制した後のゲームマネジメント。

相手の修正に対する対応。

交代選手による流れの変化。

試合終盤の戦い方。

こうした部分も監督の仕事である。

つまり日本代表は、「強豪と戦えるチーム」から「強豪との試合を勝ち切るチーム」へ進化する必要がある。

ここに森保体制の次の課題がある。

では、なぜドイツやオランダは監督を変えたのか?

今回、非常に興味深いのがドイツとオランダである。

ドイツはW杯後、ナーゲルスマン体制からユルゲン・クロップへ。

オランダはロナルド・クーマンからシャビへ。

両国に共通しているのは、単純に「監督が悪かったから交代した」ということではない。

次の4年間に必要なものを考え、外部から新しい経験と思想を持ち込んだ。という点である。

クロップはドルトムントとリバプールで欧州最高峰の競争を経験し、CLも制している。

シャビは国籍こそスペインではあるが、オランダのクライフイズムを継承している監督の1人。

Embed from Getty Images

バルセロナでは、短い就任期間ではあったが世界最高レベルのサッカー環境を経験している。

つまり両国は、「自国の監督だから」ではなく、

「次の目標を達成するために最適な監督は誰か」

という視点で人事を行っている。

ここには日本が考えるべきポイントがある。

日本は「継承」を選んだ

日本の場合、森保監督の後任として大岩剛氏が予定されている。

大岩氏はパリ五輪代表を率いた経験があり、現在はU-21世代を指導している。

一見すると非常に合理的だ。

森保から大岩へ。

Embed from Getty Images

A代表からU-21世代まで一貫した考え方でつなげる。

これは「日本サッカーの継承」という意味では理解できる。

しかし、ここには一つ疑問がある。

本当に日本は「継承」を選んだのだろうか?である。

「継承」と言うなら、なぜ2026年W杯で若い世代をもっと使わなかったのか?

ここが今回の人事で最も気になるところだ。

大岩監督はパリ五輪を経験し、その世代を知っている。

ならば2026年W杯は、2030年を見据えた世代交代の場としても利用できたはずだ。

今回の大会ならバレンシアに移籍した佐藤龍之介あたりがその世代交代する将来の若手にあたるだろう。

Embed from Getty Images

もちろん、W杯で若手を使えばいいという単純な話ではない。

W杯は結果が求められる。

だから経験豊富な選手を選ぶこと自体は合理的である。

しかし今回の日本代表は、かなり「2026年に勝つための完成形」に近いメンバー構成だった。

そう考えると、「監督人事は継承なのに、選手編成は必ずしも2030年への継承になっていない」という矛盾が生まれる。

本当の継承とは、同じ人を残すことではない。

何を残し、何を変えるのかを明確にすることだと思う。

実際ワールドカップ後の記者会見でも森保監督は大岩監督に対し、継承していくに具体的なものはないとはっきり言っているので、今回の人事による「継承の意味」はほとんどないのではないだろうか。

しかもそれを答えた森保監督は困った顔ではなく、ニヤけた表情だったということ。

正直森保監督は継承に対し、どうでもいいというのが本音というのが透けてみえた瞬間だった。

外部から監督を呼べば、一気に世代交代が進む可能性もある

ここで、外国人監督を招聘するメリットが出てくる。

例えば新しい外国人監督が日本代表を見たとする。

その監督には、森保時代から続いている「序列」がない。

「この選手は代表の中心」

「この選手は海外組だから信頼できる」

「この選手は長年代表でやっている」

といった既存の評価から距離を置いて選手を選ぶことができる。

もちろん、外国人監督なら必ず若手を使うわけではない。

むしろ実績のある選手を優先する可能性もある。

重要なのは国籍ではなく、

既存の序列を壊してでも勝つための選手を選べるかということだ。

その意味では、外部からの監督招聘は単なる戦術変更ではなく、代表チーム全体のリセットになる可能性がある。

日本代表の選手選考にも疑問が残った

今回、三笘薫と南野拓実が負傷で不在だった。

この2人は日本代表の攻撃において重要な選手である。

だからこそ、その代替となる選手の選考が重要だった。

しかし、後藤啓介、塩貝健人、鈴木唯人らの若手が、W杯で「途中出場して試合を変えるジョーカー」として十分な役割を果たせたかというと、疑問が残る。

多くの人の記憶に残っているのが彼らのプレーではなく、ブラジルについて聞かれた塩貝の「昔は強かったと思いますが、今はどうなんですかね。」という発言だったのではないだろうか。

Embed from Getty Images

ここで重要なのは、

「若手だからダメ」ではない。

問題は、「W杯の終盤に投入して試合を変える特殊能力を持っていたのか?」ということだ。

三笘がいないなら、三笘と同じ選手を探す必要はない。

突破力なのか

高さなのか

ボールキープなのか

前線での収まりなのか

セットプレーなのか

相手CBとのフィジカル勝負なのか

「15分で試合を変える武器」を持った選手を選ぶ必要がある。

「海外組だから」という理由だけでは不十分

ここには日本代表の選手選考に対する大きな問題がある。

海外組=Jリーグ組より上。

本当にそうだろうか?

欧州クラブでベンチにいる選手より、Jリーグで毎週スタメンとして活躍している選手の方が、代表で機能するケースもある。

Embed from Getty Images

例えば鈴木優磨や大迫勇也のような選手を候補として検討することには意味がある。

特に大迫のように、

前線でボールを収める

相手CBを背負う

味方を押し上げる

空中戦で競る

終盤に時間を作る

といった能力を持つ選手は、W杯のような一発勝負で価値がある。

「欧州でプレーしている」という経歴より、

「この試合の終盤に、この選手がいたら何ができるのか」を考えるべきではないだろうか。

2027年アジアカップは、日本の未来を占う大会になる

森保監督は2027年アジアカップまで指揮を執り、その後、大岩氏へ交代する予定だ。

つまりアジアカップは、森保ジャパン最後の大会になる。

ここで非常に重要なのが、森保監督がどれだけメンバーを変えるかだ。

私は、現在のW杯中心メンバーがかなり残る可能性が高いと考えている。

これは森保監督にとって自然な判断でもある。

最後の大会だからこそ、経験豊富な選手を使ってタイトルを取りに行く。

しかし、2030年を考えるなら、別の選択肢もある。

W杯メンバーをすべて外す必要はない。

むしろ、W杯の主力を10~15人程度残し、残りを若手・Jリーグの好調選手・U-21世代で競わせる。という方法が理想的だと思う。

そうすれば「経験」と「世代交代」を同時に進められる。

最も危険なのは「森保から大岩へ変わっただけ」になること

今回の監督人事で一番警戒したいのはここだ。

森保から大岩へ。

監督の名前は変わる。

しかし、海外組中心。

既存の序列

ベテラン優先

若手は少数

戦術も大きく変わらない

これでは、監督を交代した意味が薄くなる。

本当の改革とは、監督の名前を変えることではない。

代表チームの選考基準、戦術、スタッフ、分析、育成との連携まで変えることだ。

日本は「強豪国」になったのか?

私は、すでに「アジアの強豪」という段階は完全に超えていると思う。

しかし、世界トップ8の常連になったとはまだ言えない。

今回の日本はオランダと引き分け、ブラジルに1-2。

これは世界と戦える証拠だ。

一方で、ベスト32で終わった。

つまり、「世界の強豪と戦える」ことと「世界の強豪を倒して大会終盤まで勝ち進む」ことの間には、まだ壁がある。

その壁を越えるために必要なのは、単純な選手の欧州移籍だけではない。

監督

戦術

選手選考

ベンチ構成

データ分析

世代交代

そして、サッカー協会の人事戦略

すべてを世界基準にする必要がある。

ドイツがクロップを選び、オランダがシャビを選んだことは、その象徴と言える。

Embed from Getty Images

日本は「継承」を選んだ。

それ自体は間違いではない。

しかし、継承と停滞は紙一重だ。

2030年W杯で日本が本当にベスト8、そしてその先を目指すのであれば、

「森保から大岩へ」という監督交代だけで終わらせてはいけない。

残すべきものは残し、捨てるべきものは捨てる。

そして必要なら、世界最高レベルの監督を外部から招く。

そんな大胆な選択も、そろそろ日本サッカーには必要なのではないだろうか。

2027年アジアカップで、森保監督が誰を選び、誰を外すのか。

そしてその後、大岩監督がどれだけ大胆に世代交代を進めるのか。

ここが2030年日本代表の行方を占う、最初の大きな分岐点になるだろう。

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